NDD方式とDD方式

NDD方式・DD方式とは

   NDD方式とDD方式は、店頭FXにおいて、業者と顧客が行う取引の形態を区分する用語です。両者の違いは注文の執行方式にあります。微妙に約定値やスリッページに影響が出る可能性があり、デイトレードのような短期取引が中心の人にとっては考慮に入れたいポイントです。

   NDDはノー・ディーリング・デスク(No Dealing Desk)、DDはディーリング・デスク(Dealing Desk)の略称です。取引においてディーラーが介在しているかいないかの違いを指します。介在する場合は、FX業者とリクイディティ・プロバイダー(LP)の間に位置します。リクイディティ・プロバイダとは、FX業者に対して為替レートを提供する銀行等のことです。カバー取引先とも言います。

●NDD方式の取引形態

   NDD方式では、顧客の注文は個々にLPへ直接繋がれます。そこで約定すれば、顧客にそのまま返されます。このためNDD方式でFX業者が果たす役割は、取引の仲介をするだけというイメージ。取引システムなどのインフラを提供することが主な仕事になります。

●DD方式の取引形態

   これに対してDD方式では、顧客の注文はいったんディーラーが受けて約定させます。この時点でディーラーは顧客と反対のポジションを持つことになり、市場リスクにさらされます。しかし実際には多くの注文が複数のディーラーに入りますから、相殺される(つまり売りと買いが対当する)ポジションもかなり出てきます。その部分は相場の変動に対して中立になりますから、リスクをヘッジする必要がありません。そこでDD方式では、ディーリング・デスク全体のリスクを把握して、必要な分だけLPと取引を行います。

  • 売りポジションと買いポジションを相殺することをマリー(結婚)させると表現したりします。

NDD方式とDD方式の共通点と相違点

   FX業者はインターバンク市場の参加者ではありませんので、NDD方式にしてもDD方式にしても、LPからレートの供給を受け、それを顧客に提示するのは一緒です。また、顧客の取引相手がFX業者である点も同じです。違うのは、業者が行うカバー取引が、NDD方式では一つ一つの取引に対して逐一行われるのに対して、DD方式では相殺できるものは相殺して残った取引に対して行われるという点です。

取引への影響

   以上がNDD方式とDD方式の基本的な違いですが、顧客である投資家から見てどのような差が生まれるのでしょうか。冒頭で「微妙に約定値やスリッページに影響が出る可能性があり」と書きましたが、その理由をご説明します。

1.どのような影響があるのか

   違いが出るのは、画面に表示されたレートを見ながら注文するストリーミング注文です。NDD方式では、顧客が注文ボタンを押すと、その注文はインターネットを通してLPへ返っていきます。しかしこの流れの間には、レイテンシと呼ばれるわずかな時間差が生まれます。これに起因してスリッページが発生することがあります。つまり顧客が画面で見ていたレートと異なるレートで約定する可能性があるわけです。NDD方式ではこれは避けることができません。そのため、注文時に予め許容できるスリッページを指定する機能が今では一般的になっています。

   一方、DD方式を採用している業者の中には、「注文は顧客が見ていたレートで約定させる」という方針をセールスポイントにしているところがあります。こうした業者では、レイテンシによってレートが動いたとしても、無視して注文レートで約定させてしまいます。業者にとって有利に動く場合もあるので、全体でリスク管理を行えばよいという考えです。ですから、個々の取引における多少の差は許容してしまうのです。

2.約定率に差が生じる

   LPはもとよりリスクを負いませんが、NDD方式ではFX業者もリスクを取りません。ではレイテンシでレートが変わってしまうリスクを誰が負うかというと、それは顧客ということになります。顧客もリスクを取らないのであれば、つまり注文時にスリッページの許容範囲をゼロに設定すると、注文が約定しないケースも出てくるわけです。他方、DD方式の場合は業者がレイテンシのリスクを取ります。ですから実際にはレートが動いていたとしても、顧客は発注時のレートで約定するというメリットを享受できます。ただし、DD方式を採用している業者もさすがに無条件に約定させるわけではなく、一定限度を超えた場合は約定させないといった対応が取られています。

取引の透明性

   上述のように、NDD方式ではスリッページが発生したり、スリッページを嫌がると約定しないというケースが出てきます。ですから、スキャルピングなどの短期売買で約定を優先させたい場合は、DD方式のほうが有利と考えることもできます。しかし一方で、DD方式は取引の途中に人間が介在するので、何らかの操作が行われる可能性を指摘する意見があります。

   確かにひと昔前は、顧客にとって有利なスリッページは業者が飲んでしまうとか(非対象スリッページ)、業者に有利な側にスプレッドをティルト(傾斜)させるとか、いろいろ噂がありました。しかし近年では金融先物取引業協会の検査が強まった結果、そうした不正行為は行われなくなったと考えてもよいでしょう。海外FX業者のサイトでは、DD方式は不透明であるという表現をしている例を見かけますが、国内の業者については心配は不要でしょう。なお、海外のFX業者が日本語で勧誘を行っている場合は、それ自体違法行為ですのでご注意ください。

◎次のページ:AブックとBブック|前のページ:スプレッドに関する注意点

Copyright(c) 2008-2019 All Rights Reserved.