豪ドルの特徴

豪ドル紙幣

   豪ドル(Australian dollar)はオーストラリア(豪州)の通貨で、オージー(Aussie)というニックネームがあります。通貨コードはAUD。メジャー通貨の一つですが、ドル、ユーロ、円、ポンドの4大通貨に比べれば取引高は少なく、スイスフランやカナダドルと同程度です。豪ドルの特徴は次のとおりです。

資源国通貨

   豪ドルは、資源国通貨、コモディティー通貨と呼ばれることがあります。コモディティーは農産物、鉱物資源、エネルギー資源など加工度の低い物品を意味しますが、特にコモディティー通貨という言葉からは、鉱物資源やエネルギー資源がイメージされます。実際、オーストラリアの輸出品目ベスト3は石炭(14.2%)、鉄鉱石(8.8%)、金(5.6%)の順で(2006年)、鉱物資源が全体の約40%を占めます。このため、豪ドルはコモディティー価格の動向に影響を受けます。近年、原油や金の高騰に代表されるように、コモディティー価格が上昇していますが、こうした動向は豪ドルを支援する要因となっています。なお、豪ドルの他には、カナダドル(CAD)、ノルウェークローネ(NOK)、南アランド(ZAR)などもコモディティー通貨の側面を持っています。

高金利通貨

オーストラリアオーストラリアの金利は、21世紀に入ってから今日まで、主要先進国の中では相対的に高い位置を維持しています。2008年の3月から9月にかけては7.25%という高金利でした。中国の経済成長や資源価格の上昇を背景に、景気が良く労働市場もタイトな状態が続いていたことが背景にあります。その後は世界的な景気後退懸念などで利下げ局面に入りましたが、欧米や日本が超低金利政策を取るなかでは、優位性を崩していません。なお、豪ドルは高金利ゆえにキャリートレードの投資先通貨となりやすく、それが豪ドル高をもたらす一因ともなっています。FXでも高い人気を誇る通貨です。

アジアとの関係が深い

   オーストラリアは、高金利を背景に日本からの投資が盛んです。1980年代から生保などの機関投資家が積極的におこなってきたことに加え、近年では個人投資家も盛んに投資しています。日本の投資家向けに豪ドル建(またはニュージーランドドル建)で発行される債権は『Uridashi』と呼ばれますが、これは『売出し債』が語源で、その販売や償還の状況は豪ドルのレートにも影響を与えます。

   また、オーストラリアの輸出相手国は、日本・中国・韓国のベスト3で約40%を占めており、同国の経済は東アジア圏と強い関連性を持っています。

他通貨との関係

   豪ドルはニュージーランド(NZ)ドルと強い相関性をもっていますが、これはむしろ、NZドルが豪ドルに連動していると考えたほうが良いでしょう。オーストラリアとニュージーランドは同じオセアニア地域の国として経済のつながりも強いですから、両通貨の連動性が高いのもうなずけるところです。

   豪ドルはユーロとも連動します。地域性や経済的な要因によるものではなく、アンチドルの通貨という側面で、両者に連動性が生まれるのだと考えられます。すなわち、ドルの対抗馬としてユーロがあり、豪ドルも同様の連想で似た動きをするわけです。

主要な経済指標

   オーストラリア準備銀行が最大の政策目標としているのは物価の安定。このため、金融政策を決定するうえで最も重視する経済指標はCPI(消費者物価指数)と言われています。ただ、消費者物価指数は3ヶ月の1度しか公表されません。次に市場の注目度が高いのは雇用統計です。オーストラリアの雇用統計は月次で発表され、新規雇用者数や失業率が含まれます。特に失業率と政策金利は高い相関関係があると見られています。また、あまり聞きなれない名前かもしれませんが、交易条件指数も中長期的な豪ドル相場の趨勢と連動性を有しています。その他、PPI(生産者物価指数)国内総生産にも注意が必要です。

オーストラリアの経済

   オーストラリアは先進諸国がマイナス成長に陥った2009年もプラス成長でした。これは中国が相対的に高い経済成長を維持していたため、資源ビジネスが引き続き活況だったためです。しかし21世紀初頭から続いた資源ブームは終了したとの見方が多く、好調だったオーストラリアの経済にも陰りが見えています。

  2009年 2010年 2011年
実質GDP成長率(%) 2.3 1.9 3.4
消費者物価上昇率(%) 2.4 3.1 2.4
失業率(%) 5.2 5.0 n/a
経常収支(100万ドル) -49,340 -32,409 -41,736
貿易収支(100万ドル) -2,857 27,086 14,824
財政収支対GDP比(%) -4.5 -4.7 -3.9
通貨供給量伸び率(%) 0.5 9.4 7.9
出所:JETRO

参考データ

参考サイト(外部)

参考記事:オーストラリア経済の状況(2008年)

   オーストラリア政府は2008年5月13日、2008年度(7月スタート)の予算案を発表しました。その中で経済成長(GDPの伸び率)については、07年度見込みを3.5%、08年予想を2.75%としています。さらに、09年度以降の3年間は3%に回復すると予想。もしこれが実現すれば、現在17年目に入っている景気拡大局面が、なんと20年を超えることになるのです。

   日本も今は戦後最長の景気拡大局面にあります。それまで最長だったいざなぎ景気(4年9ヶ月)を2006年11月に超え、景気拡大が6年3ヶ月目に入っています。でも、景気がよいという実感は乏しいですよね。企業は儲かっても給料が上がらないからです。儲けが海外に滞留しているとか、賃金構造が変わったとかいろいろ理由はあるようですが、経済が強いという印象はありません。

オーストラリア   しかしオーストラリアは違います。2月の失業率は33年ぶりの低水準で、雇用者数は4月で18ヶ月連続の増加です。この好調な経済を支えているのが、資源や農畜産物の世界的な価格高騰。オーストラリアは鉄鉱石・石炭などの資源や小麦・牛肉などの農畜産物の輸出大国です。中国、インドなどの大人口を抱える新興国で、資源や食料への需要が高まったことが価格高騰の要因ですが、オーストラリアはこれらの国に地理的にも近く、恩恵を思いっきり受けているわけです。日経の週刊経済紙「ヴェリスタ」によると、鉄鋼石を運ぶダンプカーの運転手の年収は約1800万円になるケースもあるとのこと。景気拡大が収入の増加に結びつき、税収の増加で財政収支も7年連続黒字。これが減税策を呼んで消費を刺激と、まさに好循環!

   経済がこんな調子ですから、金利も高いです。現在の政策金利は、先進国ではニュージーランドに次いで高い7.25%。豪州準備銀行(RBA)は5月6日の政策会合でこれを据え置きましたが、再利上げの可能性を感じさせる声明を出しています。なにせ、消費者物価指数(CPI)は1〜3月期が4.2%と、RBAのターゲットである2〜3%のレンジを大きく上回っており、インフレ懸念が強いのです。このため、オーストラリアの金利は当分高止まりすると見られています。サブプライム問題で金利を大急ぎで下げた米国とは雲泥の差ですね。

   米国とオーストラリアの政策金利は、昨年7月には1%の差だったのに、今年の5月には5.25%に広がってしまいました。これを映して、AUD/USDも昨年8月の安値0.7677ドルから今年5月の高値(25日現在)0.9654ドルまで、約26%も上昇。FXで4倍のレバレッジを掛けていれば、運用資金は9ヶ月で倍になった計算です。20倍のレバレッジだと10倍、100万円が1000万円です(20倍のレバレッジは当社としてはお勧めしませんが)。

   さて、絶好調のオーストラリア経済ならびに豪ドルですが、死角はないのでしょうか。あるとすれば、やはり中国やインドの景気減速と、それに伴う商品価格バブルの崩壊です。石油などのエネルギー、鉱物資源、農畜産物の価格高騰の裏には、需給逼迫というファンダメンタルズがあることは間違いありません。しかし、年金などの長期投資資金やヘッジファンドなどの投機資金が、それを増幅させているのも事実でしょう。年金などは簡単には出て行きませんが、投機筋はそうはいきません。天井を打ったと判断したら逃げ足は速いですし、それどころか、今度はカラ売りで儲けようとします。価格が下がり、先安感が醸成されてくると、需要家も様子を見る姿勢に変わります。そうするとさらに需給が緩み価格は下落。相場における負のスパイラルが始まるわけです。

   商品相場が天井を打つと、資金は徐々にドルへ回帰しますから、AUD/USD相場も下がると予想されます。豪ドルの行方を考えるうえでは、オーストラリアの景気や金利動向に加え、原油相場などの商品相場にも注意を払う必要がありそうです。

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