南ア・ランドの特徴
ランド(Rand)は南アフリカの通貨で、通貨記号はZARです。南アフリカはアフリカの南端に位置し、金、プラチナ、ダイヤモンドなどの鉱物資源が豊富な国です。このため、ランドは資源国通貨の一つと目されており、しばしば資源価格の上昇がランド相場の支援要因になります。また、次に説明するように高金利通貨でもあるため、FXにおいても人気の高い通貨となっています。
ランドは高金利通貨
南アフリカの政策金利は相対的に高く、近年のピークである2008年の後半頃には12%という高さでした。同時期のオーストラリアとニュージーランドが7%〜8%でしたので、いかに高金利だったが分かります。リーマン・ショック以後は段階的に低下し、2012年〜2013年には5.0%まで下がりましたが、2018年2月の時点で6.75%となっています。
中央銀行である南アフリカ準備銀行(SARB)が、政策金利のレポ金利を高めに誘導しなければならない理由は二つあります。一つは外貨を呼び込む必要があること。同国の経済成長は海外からの投資をエンジンとしています。投資資金をひきつけるためにも、高金利政策が求められるわけです。また、経常収支の赤字を抱えていることも、海外からの資金流入を必要とする要因です。資源価格の高騰や経済成長で潤った中間層が消費を拡大する一方、ランド高で輸出が低下し、2003年から慢性的な経常赤字となっています(2017年の対GDP比は-2.85%)。
二つ目はインフレ対策。同国は貧困層が多く、食料品等の値上がりは国民の不満を高めるため、政府はインフレ抑制策として金利を上げざるを得ないのです。
ランドの注意点
南アフリカは新興国グループ(関連語句:BRICs)の一員として成長が期待されており、資源国・高金利という側面とあわせてランドは人気があります。しかし、上述したように慢性的な経常赤字体質やインフレ体質である点は、ランド安につながる要因でもあります。また、南アフリカの社会不安や政策リスクにも注意が必要です。鉱山会社のストライキや国営電力会社の操業低下といった事態がランド相場の下落要因になることがあるからです。
- 参考記事:為替相場と国際収支
- 参考記事:為替相場とインフレ(デフレ)
南アフリカの経済
上述した南アフリカの経常赤字やインフレを統計から読み取ることができます。
2014年 | 2015年 | 2016年 | |
実質GDP成長率(%) | 1.7 | 1.3 | 1.3 |
消費者物価上昇率(%) | 6.1 | 4.6 | 6.4 |
失業率(%) | 23.3 | 25.4 | 26.7 |
経常収支(100万ランド) | △206,644 | △177,897 | △141,596 |
対外債務残高(100万ドル) | 145,082 | 124,132 | 142,833 |