ナンピンの使い方
ナンピンとは
ナンピンは相場取引における売買手法の一つで、買い建てた銘柄が値下りしたときに追加で買い増し、買値の平均値を下げる手法です。英語では Average Down といい、漢字では難平と書きます。また逆に、売り建てた銘柄が値上がりした場合に、追加で売っていくことを含めて言うこともあります。区別するために、ナンピン買い下がり、ナンピン売り上がりという言い方もします。
ナンピンの例
FXにおけるナンピンは例えばこんな感じです。ドル/円が100円まで下がってきたので、ここがチャンスと思い、1単位買ったとします。しかし意に反して99円に下がってしまいました。そこでもう1単位買い増すと、保有高は合計2単位で、その平均買値は99.50円となります。最初のポジションよりも下がるわけです(もちろん、2回目のポジションよりも高いですが)。もし相場がここから反発して99.50円まで戻れば、含み損は解消されます。100円まで戻れば、平均買値が99.50円ですから、合計で50銭×2単位=1円の含み益となります。
以上はナンピンがうまくいった場合です。しかし99円からさらに98円に下がってしまった場合はどうでしょう。最初の建玉は2円、追加の建玉は1円の損となり、合計で3円の損失となります。平均買値の99.50円から考えると、1.50円の損失ですから、2単位合計でやはり3円の損失です。
ナンピンはうまくいけば含み損を早く解消できる利点がありますが、裏目に出ると損がより拡大してしまいます。ナンピンは、為替相場が自分にとって不利に動いている状況下で建玉を増やしリスクを高める手法ですから、安易に実行することは避けなければなりません。少なくとも資金に相応の余裕があることが条件になりますし、相場の予想に自信を持っていることが前提です。自信もないのに、あるいは単に損切りを回避するために、ナンピンなどするものではありません。
Aを押し目のポイントと考えて買いを入れます。しかし予想に反してさらに下落。下降トレンドへ転換したことが疑われますが、損切りはしたくないのでBでナンピン。一時的に反発して成功かと思えたものの、ほどなく反落。Cではオシレーター系も売られ過ぎを示していたので、さらにナンピン。しかし120円台半ばが抵抗線となって結局は下値追いの状況へ。大きな損失を被ることとなります。ナンピンの典型的な失敗例です。
ナンピンと分散建玉
ナンピンと似た手法に分散買い・分散売りがあります。複数回に分けて建玉を構築していくケースです。FXでは押し目買いを基本とすべきですが、どこが押し目の底になるかは分かりません。テクニカル分析でいくつかその候補が想定されることがよくあります。そういうときは、第1ポイントで1単位、第2ポイントでさらに1単位という具合に予定を立てます。もし第1ポイントが底だったら、そこで建玉は終了です。
分散建玉は初めからその予定でやることですから、為替相場が第1ポイントから第2ポイントへ下がっても、淡々と行動するだけです。大事なのはメイントレンドに対しては順張りだということ。ナンピンで問題なのは、場当たり的に追加建玉してしまったり、大勢に逆らいながら建玉を拡大させること。特にメイントレンドが既に下げ基調に転じているのに、値ごろ感で買っているような場合は自爆行為です。計画性のないナンピンはけっしてすべきではありません。
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