為替相場の分析手法

   FXで利益を上げていくためには為替相場の分析が欠かせません。ではどんな分析手法が有効なのでしょうか。一般的にFXや株式の分析は、ファンダメンタルズ分析テクニカル分析にわけて解説されることが多いようです。それ自体はよいのですが、具体的にどんな分析を行えば有効なのか、という結論が示されることはありません。答えは一つではないからとも言えますが、ここでは一定の結論を示したいと思います。

   以下、それぞれの分析手法についてある程度知識をお持ちであることを前提として、為替相場に有効な分析手法を考えます。なお、スキャルピングのように極端な短期売買や、バイ&ホールド型の長期投資は想定していません。取引のイメージは、一般投資家が日常生活のかたわらでそこそこ積極的に売買するような感じです。

ファンダメンタルズ分析

   為替相場のファンダメンタルズ分析は株や商品に比べて広範囲かつ難易度が高いと言えます。株の場合は、PER(株価収益率)PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)といった指標を使えば、個人投資家でもある程度はフェアバリューを想定することができます。少なくとも割安か割高かのめどは立つでしょう。商品相場はなんといっても需給関係に左右されますので、そこをしっかり分析すればファンダメンタルズは押さえられます。

   しかし為替相場の場合、分析対象は多岐にわたります。国際収支、金融政策、金利動向、物価動向などあらゆる経済現象のほか、政治的な要因まで関係してきます。しかも、為替相場は相対的価値(参考記事:為替相場の特徴)であるため、2国の状況を分析しなければなりません。それらを分析するには高い知識が必要とされ、データを収集するノウハウも求められます。とても一般投資家の手におえるものではありません。

   そのため、現実的にはエコノミストの解説に頼ることになります。幸い、無料・有料を問わず、情報は溢れています。とは言え、エコノミストによって意見はまちまち。同じ統計やデータを分析していても、肝心の為替相場に関する見通しは千差万別です。それに、たいていは大手の金融機関に属したサラリーマン・エコノミストですから、予想が当たったか外れたかはあまり問題になりません。ですので、たまたま読んだ記事を鵜呑みにして作戦を立てることは危険です。

   結局のところ、為替相場のファンダメンタルズ分析はまず無理です。なので、エコノミストが事実を分析しているくだりだけを頭にいれると良いでしょう。肝心の予想については読み流すくらいが懸命です。予想を参考にしたいのであれば、複数のエコノミストの意見を併せて読むという方法もありますが、いろいろな見方があるので、結局は判断に迷うだけです。

個別指標の分析

   ファンダメンタルズ全体は無理としても、個別の指標を分析することは個人投資家にも可能でしょう。例えば雇用統計政策金利のデータは政府サイトからダウンロードすることができます。しかしこれも、数ある要因のなかの一つに過ぎないので、頼るには心もとないというのが現実です。

材料やテーマの分析

   為替市場にはテーマというものがあります。市場参加者の関心が向いている材料のことです。相場形成への影響度が高いので、テーマに絞って分析するというのも一つの手段です。ただ、テーマとか材料は鮮度が命。しかし一般投資家はマスコミを通じてしか知ることができませんから、いつのまにか市場の関心が他に移っているということも少なくありません。それにいつもテーマがあるわけではありません。大きなテーマが浮上したとき、鮮度が高いうちに乗っかるというのは有効な手法ではあります。ただ難点は、いつも使えるわけではないということです。

テクニカル分析

   テクニカル分析派の主張でよく聞かれるのは「相場には全てのファンダメンタルズや材料が織り込まれているので、値動きそのものを分析することが一番有効である」というもの。確かにそういう一面はあるかもしれませんが、人間がやることですから、全ての要因が過不足なくかつフェアに織り込まれていると見るのは無理があります。それに、明日起こることはまだ織り込まれていません。テクニカル分析はあくまで過去の分析に過ぎないわけです。ランダムウオーク理論を背景にテクニカル分析の有効性を否定する人は、この点を強調します。

   ではテクニカル分析も使えないのかというと、筆者の感覚では「頼りないが一番使える」というところです。そもそも為替相場を分析して将来の値動きを予想すること自体、至難の業です。いつもよく当たる分析手法などないのです。その中で、唯一のよりどころとなるのは、為替相場には大小さまざまなトレンドが発生する、ということです。チャートを見れば一目瞭然ですが、小学校で習ったブラウン運動のようにまったくデタラメに動いているわけではありません。一定の動きが継続している局面が多々あります。結局のところ、この継続局面に乗れるかどうかが勝敗の分かれ目であり、取引のタイミングがそれを大きく左右します。この点で、テクニカル分析はある程度役にたってくれるのです。

分析手法以上に大事な売買手法

   話が長くなりましたが、「為替相場に有効な分析手法」という命題に対する一応の結論をまとめましょう。FXに取り組む一般投資家が腕をみがくべきは、トレンド分析を主体としたテクニカル分析ではないでしょうか。特に大事なのはトレンドの継続性に対する判断です。ただ、FXで勝つためには予想のための分析手法とともに、利食いや損切りといった売買手法やメンタル・コントロールが重要です。こちらを疎かにしていては、結局は運に左右されてしまいます。分析手法とともに、売買手法とメンタル・コントロールのスキルアップがとても大切です。この点については以下にまとめていますのでご参照ください。

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