イベントドリブン・ストラテジー

イベントドリブン・ストラテジー(Event Driven Strategy)は、相場に大きな影響を及ぼす出来事が発生した時に、その影響を検討して売買方針を決定する手法を指します。もともとは株式市場においてヘッジファンドが得意とする手法です。例えば、企業の新規事業、リストラ、買収・合併などのニュースが出た際に、その成否を評価し、現在の株価と見比べたうえでうま味があると判断したら、投資に乗り出すわけです。ですから、基本的には中長期的な売買手法と言えます。

こうした戦略は、FXにおいても応用することができます。為替相場に大きな影響を及ぼしそうな重要な経済指標や重大ニュースなどが出た場合に、その波に乗って取引を行うわけです。そのイベントに中長期的なトレンドを形成するようなインパクトがあると評価できれば、自信を持って売買方針を立てることができます。

FXにおけるイベント

では、為替市場におけるイベントにはどのようなものがあるでしょうか。

1.金融政策の変更

FXにおいて、最も重要で常に市場の関心を集めるイベントは、中央銀行の金融政策です。特に緩和から引締へ、引締から緩和へと転換する時は、為替相場の中長期的なトレンドが発生する可能性があります。こうした大きな転換点では建玉を作ってバイ&ホールドを決め込むのもよいですし、押し目買い戻り売りを回転させて利益を積み重ねていければさらに利益が膨らみます。もちろん、言うは易し行うは難しですが、こうした何年かに一度起きるビッグイベントは、ぜひFXの売買方針に反映させたいものです。

2.ショックや危機の発生

リーマンショックに代表されるような大きな社会的ショックや危機が発生した時も、イベントドリブン・ストラテジーを実行する好機です。ショックや危機の発生源は経済的なイベントであることが多いですが、政治的なイベントや転変地異の場合もあり得ます。評価のポイントは、そのイベントが、世界的な資金の流れに変化をもたらすかどうかです。言い換えれば、特定の国から資金が逃げ出すのか、それとも資金が向かうのかという点です。過去において「ショック」や「危機」と名付けられたイベントには、リーマンショック以外にも次のようなものがあります。

なお、為替相場において過去最大のイベントと言っても過言ではないのがプラザ合意です。さすがにこの規模のイベントはもう発生しないように思えますが、起これば千歳一隅のチャンスになるかもしれません。

3.転変地異や政変の発生

地震・台風・洪水などの転変地異や政変などのイベントは、その国の経済活動に深刻な影響を及ぼすほどの規模であれば、為替相場にも影響を与える可能性があります。ただこうしたイベントは、影響が見極めにくいので、当座は様子見に徹するのが無難でしょう。東日本大震災が起こった際の為替相場も、発生直後は乱高下しています。この時のドル円の動きについては「大規模災害と為替相場」を参考にしてください。

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