FX業者の選択基準

   実際にFXを始めるなら、取引口座を開設する業者を決めなくてはなりません。取引の前に業者の選択で失敗しないために、大切な基準やチェックポイントをご案内します。

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選択の理由ベスト8

   実際にFXを行っている人は、どんなところを重視して業者を選んでいるのでしょうか。ちょっと古いですが、日経ヴェリタス(日経新聞社の週刊金融紙です)が行ったアンケートが参考になります(2008年6月1日号掲載)。結果は下図のとおりで、1位はスプレッド。これに、取引会社の信用力やスワップポイントが続きます。

FX業者を選んだ理由

   この中で、いくつかの項目については状況が変わったものがあります。まず、5位にレバレッジが入っていますが、これはもう重要な要因ではなくなっています。2011年にレバレッジ規制が導入されたため、どの業者も最大で25倍になっているからです(それ以前は400倍なんてのもありました)。ただし個人の場合。法人は特に規制がありませんから、法人口座を開設する場合は今でも重要な要因かもしれません。また、2位の信用力ですが、これも2009年に信託保全が義務付けられたため、当時よりは重要度が下がったのではないでしょうか。

   7位に「通貨の変動が大きいこと」とありますが、これは誤解があるようです。同一通貨ペアであれば、業者によって変動率が違うということはありません。変動の激しい通貨ペアを扱っているということであれば、4位の通貨種類と重なります。

   最後に、このアンケート以外で判断材料の候補になりそうなものをあげておきます。

  • 取引システムの機能や使いやすさ
    注文の方法や種類は業者によって異なります。特にスキャルピングなどの短期売買を行う方にとって使いかっては重要。対応している端末の種類やチャートの機能も無視できません(参考記事:ウェブクライアント型とリッチクライアント型)。
  • 自己資本規制比率や純資産などの財務指標
    信託保全が義務付けられているとはいえ、業者が万一破綻した場合、ただちにお金が返ってくる保障はありません。業者の信頼性は何よりも重要です。
  • プレゼントやキャッシュバックなどのキャンペーン内容
    目先の人参にはあまりつられないほうがいいですが…
  • 株式やCFDなどのその他の取り扱い商品
    FX以外は考えていないということなら無関係の要因ですが、総合的に扱っている業者も多くなっています。

自己資本規制比率のめやす

   自己資本規制比率というのは、簡単に言えば資金的にどれだけ余裕があるかを表したもの。まさに業者の安全性・健全性を測る指標で、その計算式は金融商品取引法で厳格に定められています。業者は毎営業日ごとにこれを計算し、月末の数値は行政に届け出なければなりません。また、3か月に1回(3月、6月、9月、12月の各月末)は公開する義務があり、FX業者の店頭に行けば、開示書面を確認することができます(設置されていなければ法令違反です)。ただ、わざわざ店頭に行くのは面倒ですから、良識のあるFX業者なら、自社のホームページで公開しています。逆に、ホームページに自己資本規制比率を掲載していないFX業者は、あまりお勧めできません。

   業者を選ぶ際には、500%以上を目途にすることをご推奨します。300%未満は除外して考えるべきではないでしょうか。自己資本規制比率は完全な指標ではなく、業者の安全性を保証してくれるわけではありませんが、重要な指標であることは間違いありませんから。

   なお、金融商品取引法では、次のような基準が定められています。

  • 140%を下回った場合…金融庁長官への届け出が必要になります。
  • 120%を下回った場合…業務改善命令が出され、改善計画の提出が必要になります。
  • 100%を下回った場合…業務停止命令もしくは登録取り消し命令が発動されます。

   法令上は140%以上をキープしていればよいわけですが、これは最低限の話しで、高ければ高いほど安全性も高まると言えます。

取引コストとスワップポイント

   FX業者を選ぶ際にまず重視すべきは信頼性や安全性です。具体的には自己資本規制比率や純資産をチェックすることです。その部分がOKなら、次は収益に直接かかわってくる部分をチェックしましょう。

1.取引コスト

   取引コストというのは、顧客が取引を行う際に負担しなければならない費用ですが、これには手数料とスプレッドの二つがあります。手数料は、2006年から2007年に激しい引き下げ競争が展開された結果、現在は無料としている業者がほとんどです。なぜ手数料無料でもやっていけるかというと、スプレッドに業者の儲けを含めているからです。

   手数料を徴収している業者では、消費税の扱いに差があるので注意が必要です。実際に通貨の受け渡しが可能な現物決済を採用している場合は消費税がかからず、そうでない場合は消費税がかかるからです。これについては金融先物取引業協会からも通知が出ています。

   また、業者の儲けはスプレッドに含めず(つまり卸し値でそのまま出し)、外付けの手数料を設けている業者もわずかですがいます。この場合、税金面で有利になる可能性があります。手数料は経費扱いになるので、売買益から控除することができるからです。スプレッドの中に手数料分が含まれている場合は、それができません。スキャルピングのような売買頻度が高い取引を行う方は、こうした業者を選択するとよいでしょう。

2.スワップポイント

   スワップポイントは、デイトレード派には関係のない要素ですが、キャリートレード派には業者を選ぶ際の重要なポイントです。当然ながら、受け取りスワップが高い業者を選ぶことになります。業者も、キャリートレード派をターゲットとしているところは、他社よりも魅力的なスワップポイントを提示しています。ただ、スワップポイントばかりに目がいくと、本筋の為替相場で大きな損失を被る危険があります。レバレッジをかけるのであれば、スワップポイントは副産物程度に捉えておくべきでしょう。

含み損益とスワップポイントの扱い

   FXの業者を選ぶポイントの最後として、含み損益とスワップポイントの扱いについて解説します。これまであげた要因に比べて選択を左右するほどではありませんが、投資スタイルによっては重要もしれません。

   建玉を持つと、為替相場の変動によって損益が発生します。この損益は、株式取引ですと(先物も含めて)決済するまでは仮の損益として扱われ、たとえ儲かっていても出金することはできません。決済して損益が確定してはじめて、出金することが可能になります。しかし、FXの場合は業者によって扱いが異なります。基本的には、以下の2通りのやり方があります。

  • 決済するまでは含み損益として扱う方法
    評価損益(売買の差損益とスワップポイントの受け払いの差)を含み損益として持ち、決済するまで実現損益としては扱わない場合です。仮に儲かっていても、未決済のうちはそれを現金化したり、新規注文の取引証拠金に充当することはできません。また、確定申告の対象にもなりません。
  • 未決済でも含み損益を実現損益に振り替えていく方法
    評価損益が利益になっていれば取引証拠金に加算し、損失があれば取引証拠金から差し引く場合です。仮に儲かっていれば、実現化した利益は出金したり新規注文の取引証拠金に充当することができます。建玉は残っていても、年末までの確定した損益は、確定申告の対象となります。含み損益の振り替えは建玉の繰り延べ処理(一般的にはニューヨークの午後5時開始)で行われますが、その際、建値はその時のレートに引き直され、相場の含み損益はゼロにリセットされます。

   上記の2通りがメインのパターンですが、他にもいくつかバリエーションがあります。特にスワップポイントの扱いは業者によって結構異なり、次のような方法もあります。

  • スワップポイントを建値に繰り入れていく方法
    例えば、100円でドル/円を買い持ちした場合を考えてみましょう。仮にスワップポイントを5銭の受け取りとすると、ポジションの繰り延べ処理で、建値を99円95銭に変更するのです。もし相場が100円で変わっていないと仮定すると、相場の含み損益は5銭のプラスとなります。スワップポイントを別立てにしないわけです。日本ではやや違和感のあるやり方ですが、FX本来の取引に即したやり方で、欧米では広く採用されています。

  • ポジションの繰り延べ処理
    FXはインターバンク市場スポット取引がベースになっています。スポット取引というの現物取引に当たり、実際に通貨の交換を行わなくてはなりません。FXは、これを先へ先へと繰り延べていく仕組みになっているので、期限なくポジションを維持できますし、スワップポイントの受け払いが発生するのです。そして、この繰り延べ処理を行うときに、含み損益やスワップポイントをどう扱うかによって、各社の商品設計に差が生じます。なお、どの業者も繰り延べ処理は行いますが、一定時間は取引システムを止める業者もあれば、止めない業者もあります。

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