成行注文

   成行(なりゆき)注文は、約定値を指定しないで出す注文方法です。英語ではマーケットオーダー(Market oreder)と言います。注文が執行された時点の市場値(クォート)で約定するので、約定値は保証されていません。一方で約定しないということは基本的にありませんし、指値注文など条件付きの注文よりも優先して約定します。ですから、とにかく取引を成立させたいという場合、例えばリアルタイム・チャートやプライスボード(相場表)を眺めながら『今がチャンスだ!』と思ったときなどに用います。

成行注文の注意

   成行注文における約定値は、その時点で市場に出ているビッドまたはオファー(アスク)になります。顧客側から見て買う場合はオファー、売る場合はビッドで約定します。

   成行注文の約定値は取引が成立してみないと分かりません。ですので市場の流動性に注意が必要です。流動性が低いと、約定値が直前の市場値から乖離することがあるからです。ドル円や豪ドル円なら東京時間、ユーロ/ドルやポンド/ドルは欧州時間にもっとも取引が厚くなり、スプレッドも狭くなる傾向があります。メジャー通貨同士の組み合わせであれば、普段の為替市場で大きくぶれることはありませんが、ベストを狙うならこの時間帯です(参考記事:為替市場の時間帯為替市場の取引高)。

   ただし、雇用統計の発表時などでサプライズがあると、メジャー通貨でも流動性が一瞬消えることがあります。腕に覚えがない限りは様子を見たたほうが無難です。また、トルコリラや南ア・ランドなどのマイナー通貨はもともと流動性が低いので、日本時間の早朝や欧米が休日の際は、成行注文は使用しないほうがよいでしょう(参考記事:トルコリラの特徴南ア・ランドの特徴

成行注文とスリッページ

   成行注文で注意したいのは、発注自に取引画面に表示されていたレートと約定値が微妙にずれる場合があることです。これをスリッページと言います。成行注文におけるスリッページは、発注時点と注文がシステムで処理される時点とでタイムラグ(レイテンシー)があるために発生します。

   FXが日本に導入されたころは、成行注文でも約定値を何秒間かは保証する業者がけっこうありましたが、業者側がリスクを負うため、手数料競争の激化とともに消滅してしまいました。ただし、似たような仕組みにストリーミング注文があります。名称は業者によって異なりますが、発注時に取引画面で表示されていたレートをある程度保障するというものです。DD方式を採用している業者が提供しています(参考記事:NDD方式とDD方式)。また、成行注文の発注時にスリッページの許容範囲を指定できる機能を採用している業者もあります。

その他の注文方法

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