指値注文
指値(さしね)注文は、注文を出す時にあらかじめ希望する約定レートを指定して出す注文方法です。英語では、限定条件付きの注文という意味で「Limit-order」と言います。指定したレートよりも不利なレートで約定することはないので安心ですが、成行注文のように必ず約定するとは限りません。約定するかしないかは為替相場の動向次第です。基本的には押し目買いや戻り売りに用いる注文方法と言えます。
FXで提示される取引レート(クォート)は、2ウェイプライスといって買値と売値の二つがあります。指値注文の約定値は、買い注文の場合は高いほうのオファー、売り注文の場合は低いほうのビッドです。例えば買いの指値注文が約定するためには、高いほうのオファーも指定レートまで下がる必要があります。
指値注文の約定値
指値注文では、ふつうは指定したレートで約定しますが、必ず一致するというわけではありません。指定レートより有利なレートで約定することがあります。例えば、為替市場のボラティリティーが高まっていたりリクイディティーが少ないと、市場の実勢レートが不連続となりがちです。そういう時は、指定レートを飛び越えて約定するることが起こるわけです。
ただし、これは業者にもよります。直前レートの次に指値を割り込んでレートが付いた時、約定値としてそのレートを採用する業者と指値を採用する業者が混在しているのです。これは、金融商品取引法でも容認されています。もちろん、投資家にとっては前者のほうが有利であることは自明です。
なお、約定レートが指値よりも不利になるということはありません。もしそういうことが起こったら、取引システムの障害など何らかの問題に起因しているはずです。
指値の決め方
指値注文は、レートを指定できるので安心である反面、為替相場の実勢がそこまで届かず、チャンスを逃してしまうケースもあります。指値の決め方はFXの成果を左右する大事なキーポイントの一つと言えます。ではどのように決めるとよいのでしょうか。以下に候補となるものをあげておきます。ただしあくまで候補ですから、総合的に決めることが大切です。また、一つの指値に資金を集中させず、複数の候補に分散させることも忘れないようにしてください。
- 移動平均…移動平均線は設定する日数や時間数によって値が変わってきますが、50や100というきりの良い数値は市場参加者の多くが採用している数値なので、一つの目途になります。デイトレードのような短期売買では、分足や時間足を見ることが多くなりますが、相場の勢いに応じて10分や1分など見る足を変えるのも重要です。また移動平均をベースとした乖離(かいり)やボリンジャーバンドなども利用できます。
- トレンドライン…チャートが明確なトレンドラインを形成しているような場合、その付近は指値の有力な候補になります。
- フィボナッチ・リトレースメント…38.2%や61.6%などのフィボナッチ比率を使って押し目やあや戻しの候補を計算します。
指値注文の注意点
指値を実勢値から遠く離れたところに置くのは問題です。例えば上昇相場に乗り遅れたとき、押し目を待って指値を入れることはよくあることです。しかしかなり低い位置まで下がってくるということは、すでに相場は下降トレンドに転換している可能性があります。また、スワップ狙いから単なる値ごろ感で「ここまで下がれば割安」と考えることもあります。しかしこの値ごろ感というのは、指値にとって危険で安易な感覚であることを忘れないでください。
指値注文では、注文の有効期間を長くとるとリスクも高くなります。GTCのように無期限の設定をしておくと、うっかり注文していたことを忘れてしまうこともあります。長くても1週間程度にして、期限がきたら再考することをお勧めします。